美大や音大を卒業していたり、
芸術系の勉強をしていた人は
どちらかというと
・一般企業に就職できるのか不安
・変人が多いと思われる?
・学んでもお金にならないのでは?
といったような
ネガティブなイメージがあるように思います。
でも私は、芸術系の大学を出たことに対して
物凄くプラスのイメージを持っていて、
芸術系の大学で学んでこなかったら
絶対に発見できなかったと思えるほど、
芸術系を学ぶことに魅力を感じています。
このことを知って頂くと、
もしかしたら芸術系で学ぶことを
ネガティブに感じていらっしゃる方も、
芸術系で学ぶっていいなぁって
思ってもらえるかも知れません。
美大卒なのに一般企業で働く自分をダメだと思っていた私が、営業の仕事で気づいた 専門性を活かすとっておきの方法
ぜひ最後まで
お付き合いいただけたら嬉しいです。
目次
専門的な勉強をしたのに活かせる仕事してないのって恥ずかしい
小さい頃から絵を描くことが
好きだった私は、
美大に進学しました。
大学で専攻していたのは、
油絵を描くとか
デザインをする
といったようなものではなく、
西洋美術史といって、
ヨーロッパの絵画や、
歴史的建造物から
色んな事を読み取ったり、
色彩計画といって、
色彩心理を使って
モノ作りなどに活かすような
勉強をしていました。
就職活動が始まるころ、
何がやりたいか分からないまま、
就職課に足を運んで相談したところ、
色彩計画の勉強が活かせそうな
会社を見つけました。
カラーデザイン部門で働く
同じ大学出身の先輩と話したところ、
インターンをすることになったんです。
勝手にそんな淡い期待を抱いて
インターンを続けました。
しかし・・・。
結果的には正社員登用の話は無いまま、
卒業を迎えました。
既卒フリーターになった私は、
それでも、
正社員で働きたいと
いう気持ちはあったので、
そこから就活を開始しました。
書類選考もしたことなければ、
面接も受けたこともない。
SPIって何?
適性検査って何?
インターンしか経験していなかったので、
就職活動で必要とされることを
何ひとつ、やらずじまいだった私は、
人材紹介会社を利用することにしました。
勉強中心っていうと・・・?
(うーん、なんて表現したらいいか分からないなぁ・・・。)
そんなやりとりの中、
紹介されたのは
営業の仕事でした。
断られたりもするし、辛そうだし、体力使いそうだし・・・。)
未経験で大丈夫ですよ。
専門知識がなくてもできる
この言葉は、
私の心にグサッときました。
同じ大学の同級生たちは、
デザイン会社や広告制作会社
といった、
専門性を活かせる就職をしているのに、
私は一般企業で
クリエイティブな仕事でもなく、
営業の仕事・・・。
そんな恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。
それでもやるしかない、と営業の仕事を頑張ってみる
そうはいっても、
現実的に私を受け入れてくれる
会社は多くありませんでした。
新卒採用枠ではなく、
中途採用枠になってしまったため、
経験者が欲しいなど、
ハードルが上がってしまったのも
大きい要因かも知れませんでした。
クリエイティブ系の会社を受けると、
スキルが足りない
と言われてしまい、
一般企業を受けても、
美大卒で一般企業はもったいない
と言われてしまう。
そんなことを繰り返すうちに、
やっと1社、内定を取ることができました。
それは、
人材派遣会社の営業職
でした。
・新規の飛込からスタート
・お客様はクリニックや病院
・医療事務などで働く派遣スタッフを担当
メーカーや商社と違って、
商品は人材サービスなので、
最初から専門知識はいらないし、
美大卒ということもあって
色んな価値観の人を見てきてるだろうから
向いているんじゃないか?
そんな風に
紹介会社の方からアドバイスを受け、
入社することを決めました。
それ以上に、
数社受けてきてダメだったので、
早く社会人になりたい
という気持ちが強くなっていて、
とにかく営業やってみるしかない!
と覚悟を決めていたんです。
飛び込み営業繰り返しても受注ができない、もうイヤだ!!
派遣会社に入社した後、
最初の1か月間は
先輩の営業同行をしていました。
私より2つ年上で、
入社2年目の女性の先輩でしたが、
社内での成績は常にトップ。
今回初めて、
新人を育てることになり、
派遣ビジネスの基本から、
丁寧に教えてもらっていました。
2カ月を過ぎた頃、
とのことで、
先輩から引き継いだ
総合病院を担当しつつも、
クリニックへの新規飛び込み
をしておいでと言われました。
私が担当していたエリアは、
渋谷、世田谷、中野の3区で、
エリア内を歩きながら
クリニックを見つけては
飛び込みをかけます。
と丁寧に断ってくれるところもあれば、
と門前払いを食らうところもあります。
1日あたり平均30件、
多い時には50件以上、
飛び込みをしました。
1か月ほど続けても、
受注に至ることはなく、
心が折れそうになっている頃、
こんなことがありました。
人材派遣会社の者ですけれども、この度、このエリアの担当になりましてご挨拶にまいりました!
どちらの派遣会社さんなの?
株式会社〇〇〇〇と申します。
いま、院長先生はお手すきでらっしゃいますか?
ぜひ、ご挨拶をさせていただきたいのですが。
すると、
受付の奥の診療室で
この会話を聞いていた
院長先生が突然出てきてきました。
ご挨拶に伺いました、株式会社〇〇〇〇の・・・
お前らはインチキ商売だ!
とっとと帰ってくれ!
そう言って、
私が差し出した名刺を
目の前で
ビリっと破り捨てたんです。
受付の人(院長先生の奥様)に
理由を聞いてみると、
派遣スタッフとして来た人が1週間も経たないうちに連絡もなく辞めちゃったの。
それでも、派遣会社からは働いた時間分の代金をとられちゃってね・・・。
院長、だまされたって怒ってるのよ、ごめんなさいね。
その場では
平常心を保って
なんとか笑顔で
乗り切りましたが、
クリニックを出た瞬間、
涙があふれて止まりませんでした。
営業なんて向いてないし、やりたくない!
お客様先の部屋に飾ってある絵画の話ばかりしたら、初受注
名刺破られた事件の翌日、
私は先輩に相談をしました。
飛び込む時間帯とかは意識してる?
なるべく診療時間中は避けて、お昼の休憩時間を狙っていくようにはしています。
運よく院長に挨拶できても、話が一向に進まなくて・・・。
私も新規飛び込みし始めた頃は、1か月くらいそんな状態が続いたかなぁ。
どうやって成績を上げられるようになったんですか???
売ろう売ろうと思ってると、なんか強引な感じの印象になっちゃってたみたいで。
獲物を狩りに行くライオンが来た~!みたいになって、
お客様に圧迫感を与えちゃってたんだよねぇ。
・・・若かったなぁ、ワタシ(笑)
それで、商品でも会社でもなく、自分を知ってもらうようにしよって思って。
ほら、私、フルートやってるじゃない?
お渡しする会社のパンフレットに、定期演奏会のチラシを入れるようにしてみたの。
そしたら、受付の方と演奏会のことでお話しする時間が増えてね、
そのうち、院長先生に取り次いでくれたりするようになったんだ。
今までの私は、ただ買ってください!とばっかり言おうとして、
飢えたライオンみたいな状態になってたんだな・・・。)
先輩からのアドバイスで
一筋の光が見えた。
そんな気持ちになりました。
しかしそれから数日間、
いつものように
飛び込みをしていた私ですが、
やっぱり結果は出ない。
自分を知ってもらうって
頭では考えているけれど、
どうしていいか分からない・・・。
やっぱりダメかも、
と思っていました。
もうこの1件で今日は飛び込み終わりにしよう・・・。)
そんな気持ちを抱えながら、
とあるクリニックへ飛び込みました。
派遣会社の者なんですが、このエリアの担当になりまして、ご挨拶に伺いました。
ちょうどさっき診療終わったところ。タイミングいいわねぇ。
院長~!派遣会社の人が挨拶したいみたいですよ~。
運よく、
院長室に通して頂けました。
・・・あ、この絵って△△△の作品ですよね?
その時、目に入ったのは、
私が大学時代に研究していた、
ある画家の油絵でした。
良く知ってるねぇ~!
わぁ~嬉しいです。本物の作品に出会えるなんて。
その後30分くらい、
院長と私は
その画家について語り合いました。
正直、マイナーな画家だから誰も知らなくってねぇ。
ところで、キミは人材派遣会社の人で、今日は営業しに来たんだよね?
すみません、こんな話ばっかりしてしまって・・・。
ちょうどいま、受付スタッフの1人が産休に入る予定があってね。
誰かいないかなぁって思っていたところなんだ。
キミにお任せしようと思う。派遣のスタッフさんを1人、頼みたい。
そんなにビックリしなくてもいいじゃないの(笑)
うん、キミの人柄が良いと思ったからお任せするよ。
これが、
私の新規初受注でした。
営業って商品を売るんじゃなくて、私を売ればいいんだ!
飛び込み営業に疲れて、
もうどうしたらいいのか、
分からなくなっていた
そんな時に
絵の話をしただけで
受注することができた。
私はここで大事な何かを掴んだ、
そんな気がしました。
それからは、
先輩のマネをして、
自作したプロフィールシートを持ち歩き、
会社パンフレットを渡す時に
一緒に渡すようにしたり、
お客様へ訪問した時に、
室内に芸術的なものはないかを探して、
見つけたらその話をするようにしたり、
お客様が使っている
小物類やネクタイの柄などについて、
美術を学んできた者として
話題に出すようにしました。
すると、
面白いことに
話が盛り上がるんです。
私からは一切、
うちの会社を使ってください、
といったような話は出さず、
ただただ、
お客様のことを観察して、
美大出身の私だからこその観点で、
お話しをする。
そんなことを
徹底的に実践していった結果、
毎月2件~3件、
新規受注ができるようになったんです。
先輩からのアドバイスをもらったおかげです。
あぁ、フルートのこと?
クリニックとか病院の待合室や、院長室って絵が飾ってあったりするじゃないですか?
飛び込んだ時にすぐに見つけて、その話をするようにしてみたんです。
そしたら、受付の方とも院長先生とも話が盛り上がることが増えたんですよ~。
良い所に目を付けたねぇ~。
私も営業訪問にいくと、ほとんど仕事の話していないもん(笑)
営業って、商品を売るんじゃなくて自分を売る仕事なんだよねぇ。
商品を売るんじゃなく、
私という人間を売る
私が掴んだ「何か」は
まさにそのことでした。
学んだことは無駄じゃない、必ずどこかで活きてくる
芸術的な勉強をしたことが、
一般企業でどんな風に活かせるのか。
先輩からのアドバイスを受け、
たまたま絵画の話をしたことで
初めて新規受注することができ、
自分を売るのが営業だと
気づいた私が思ったのは、
芸術的な素養を持っているからこそ、
多くの人と共通の話題で盛り上がれる
ということなんです。
営業を始めたばかりの頃は、
商品を売らなきゃ
って思い込み過ぎていて、
獲物を狩るライオンのようでした。
美大出たのに関係ない業界で営業なんて恥ずかしい
一般知識もない私に営業なんてできないよ
でも入ったからには営業できるようにならなきゃ
そんな風に思っていたので、
飛び込みをするたびに、
もうヤダ、向いてない、できるはずない
と感じてストレスでした。
そんな私が、
先輩からのアドバイスを受け、
営業とは何かを知ってから、
そんなストレスは一切なくなりました。
私という人間を知ってもらうために
お客様が安心して私に任せようと思ってもらうために
お客様の興味関心は何なのか、
芸術を学んだ私だからこそ
語れることは何なのか。
そんな気持ちで臨んでいると、
お客様と話すことが楽しくなって、
いつも笑顔で商談できるようになります。
結果として、
私という人間に魅力を感じて、
任せたいと思ってもらえる
お客様が増えていきました。
芸術を学んだことというのは、
どんな仕事であったとしても、
人間同士が共感しあっていく上で、
必ず活きてくるもの
なんじゃないかなぁって思います。
芸術系を学んだことは自分のウリ、以前の私と同じように悩むクライアントさんも笑顔に
キャリアコンサルタント
の仕事をしているいま、
美術系や音楽系、演劇系などの
芸術分野を学んだけど、
その仕事で稼いでいくのは
難しいと感じた・・・
と悩んでらっしゃる
クライアントさんからの
相談をよく受けます。
本当に狭き門で、自分の実力では入れませんでした・・・。
親に大金だしてもらったのに就職できないなんて申し訳なくて・・・。
といったご相談に対し、
私自身が経験したことを
お話しした上で、
1つの演奏会を創り上げるためのチームプレイとか、
納期(演奏会)までに演奏クオリティを高める努力とかもあったはずです。
芸術活動で培ってきた力は、仕事の中の色んなシーンで活きてくると思いますよ。
そんな風にお伝えすると、
と、笑顔になってもらえます。
また、加えてお話しするのは、
芸術系を学んだことはウリになる
ということです。
美術、音楽、演劇・・・
こういった分野の話は、
多くの人と共通の言葉で語れたり、
話していて楽しいものだったりしますよね。
専門的に学んだ自分だからこそ、
ちょっとした雑談の中でも、
「へぇ~」って
思ってもらえるような話ができたり、
何よりも
楽しい話ができるというのは、
それだけで良い印象を持たれやすい、
って思ったりもします。
芸術系を学んだ人が、
その分野の仕事じゃなかったとしても、
自分の専門性を活かせる場面があるんだ、
キャリアコンサルティングの中で
そんな風に感じられて、
笑顔になって頂けるのは、
私にとっての喜びだったりします。
まとめ
美大卒なのに一般企業で働く自分をダメだと思っていた私が、営業の仕事で気づいた 専門性を活かすとっておきの方法
いかがでしたか?
美大を卒業したけど、
専門性を活かせる仕事には就けず、
既卒フリータになり、
就職活動がうまくいかず、
やりたくなかった
営業の仕事をした私。
やると決めたからには、
何とか頑張ろうと思って、
飛び込み営業をしましたが、
全く結果に繋がらない。
ついには、
自分の目の前でお客様に
名刺をちぎられてしまい、
もうやりたくない!
と思ってしまいました。
営業の仕事なんて自分には無理だ。
大学で学んだことを一つも活かせないし
そんな風に感じた私でしたが、
先輩からの
自分を知ってもらうのが営業
という言葉と、
仕事とは全く関係なく、
絵の話だけで盛り上がって
初めて新規で依頼を頂けた
院長先生とのやり取りを通じて、
芸術を学んで良かった
そんな風に思えるようになりました。
芸術系で学んで
クリエイティブな職種に
就いていなくたって、
恥ずかしいことじゃない
芸術系で学んだからこそ、
一般的な仕事の中で
活かせる専門性が沢山ある
そんな風に、
いまの私は感じています。
私のこの経験が
何かのヒントになったら嬉しいです。
P.S
以前の私と同じように、
せっかく学んだ専門性を
活かしきれていないなぁって
モヤモヤしている方が
いらっしゃったら、
1人で考えるより、
誰かに相談するとスッキリする
そんなこともあると思います。
不安なことやご質問ありましたら、
こちらからお問合せください。
でも、どうしよう・・・私の学部はクリエイターになれるような学部じゃないしなぁ・・・。)